東慶寺で蒔絵展。
ちょうど、染色家の方に組み紐の話を聞き、組み紐がついた鉄線の蒔絵箱を見に行った。
私の好きな鉄線の花の蒔絵で、しかも美しい組み紐がついてるなんて、これは行かないと。
東慶寺の住職であった天秀尼は、豊臣秀頼の娘で、蒔絵箱など多くの調度品が東慶寺に残っている。
今回の展示は、天秀尼の調度品以外にも東慶寺に残る蒔絵を含めた展示。
鉄線の蒔絵は素晴らしく、大きなつぼみや、フワッと咲き開いた花が描かれ、また、箱の隅にほどこされた彫りのピンクがなんとも上品で、かわいらしい。
附属の組み紐は、このピンクと白のグラデーションで、複雑な編みが美しい。
幾何学模様は、まるで近代の作品のよう。組み紐の模様は、時代を超えるのか。
そして、心に残ったのが、葡萄蒔絵の聖餅箱。
聖餅箱は、キリスト教のミサで使う、パンを入れる容器。
蓋には、イエズス会のマークと、花形の十字。
本体の側面には、ふくらかな葡萄を描いた金蒔絵。葉のあちこちに、螺鈿がきらめいている。
桃山時代の作風らしいが、なぜ、東慶寺にキリスト教の聖餅箱があるのか、その由来は不明。
天秀尼の持ち物かも不明。
東慶寺の尼さんは高貴な人が多かったから、誰かの調度品なのか、それとも、お寺に駆け込んだ人が持ってきたのか、全ては不明。
ミステリアス。
でも、かけこみ寺として知られ、多くの女性を助けた尼寺が、
異なる宗教のものも受け入れ、これまで大事に保管していた、その懐の深さ、慈しみの深さは、感じることができる。